サトーグループは、社会課題に対し本業を通じて提供する価値(CSV:Creating Shared Value)をマテリアリティの一つに位置づけ、「イノベーションを通じた社会価値創造と企業価値向上」の実現を目指しています。その実現を支える無形資産の一つとして、知的財産の強化に取り組んでおり、戦略的な創出と活用を図るために知的財産部門を設置し、知財関連の業務を統括しています。中期経営計画の実現に向けては、知的財産中期事業計画を策定し、全社横断的な取り組みとして関係部門との連携を強化しながら、現業の成長を支える知的財産の創出に取り組んでいます。また、知的財産に関するグローバル基本方針の実践および知的財産中期事業計画の着実な実行を通じて、知財ガバナンスの高度化にも取り組んでいます。
生産・販売を業とする者の本分に徹し、モノづくりを基盤としたソリューションサービスの進化に取り組むなかで、知財活動においても「モノづくりの発明」を基本に据えつつ、「ソリューションの発明」にも注力しています。その成果として、近年はソリューション関連の特許出願が大きく伸長しており、2024年度までの直近3年間の出願件数平均は、2014年度比で2倍を超える水準となっています。
さらに、長期成長を見据えた戦略投資に対応し、将来を支える知的財産の創出にも積極的に取り組んでいます。技術革新や新領域・新市場での事業創出に向けては、ノンリニアな試行錯誤を伴うイノベーションの創出プロセスの中で、IPランドスケープ※1の活用を進め、競争優位の確立に資する知財戦略の立案や、国内外における知財ポートフォリオの強化にも注力しています。また、外部との共創によるタギングの高度化や新規事業の選定においては、ビジネスインテリジェンスを活用し、知財観点からも意思決定の高度化を図る取り組みを開始しています。
お客さまの現場課題を解決するための創意工夫を特許として保護・活用することを重視し、保有特許全体の利用率向上にも努めています。収益を伴う成長の実現と資本効率の向上を両立させるため、保有特許の定期的な棚卸と評価を実施し、価値の高い新しい特許と価値の低い特許を適切に入れ替えることで、保有特許の質の向上を図り、また、事業ポートフォリオに適したコンパクトな構成としています。その結果、電気機械製造業で保有特許の平均利用率が回復傾向にある中において、当社グループの保有特許の利用率は底堅く推移しています。
海外展開においても、事業成長をより確かなものとするため、特許による保護を強化してきました。その結果、2024年度末時点における海外主要国での特許保有件数は、2014年度末比で2.5倍超に達しています。連結売上高に占める海外売上の比率は、2014年度の30%強から、2024年度には50%近くに達しており、海外特許の保有件数の伸びは、この成長と連動しています。